vol.9 USCPAの転職先④-2 「事業会社で長期キャリアを構築!内部監査 編」

さて、前回から事業会社に注目してUSCPA取得後のキャリアについてご紹介してきました。

しかしながら思いの外「経理財務」について熱く語り過ぎてしまったので、今日は説明しきれなかった「内部監査」「経営企画」ポジションについて触れていきたいと思います。

皆さんも続きが気になると思うので、今日は前置きはなしで本題に進みましょう。そのため、今日はankoさんのセリフはありません!

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USCPAの転職先

①監査法人

②税理士法人

③コンサルティングファーム

④一般事業会社(外資系企業を含む)

⑤海外会計事務所

 

“監査法人”と企業の“内部監査室”が行う「監査」の違いは?

仕事内容

以前、監査法人の業務内容を説明する際にも「(会計)監査」という単語を使用してきました。

「会計監査」「内部監査」、両方とも「監査」という言葉が含まれているけれど何が違うのだろう、と思った方もいるかもしれません。

監査法人が行う会計監査は、「外部監査」という位置づけです。両者の違い見てみましょう。

外部監査
:企業外部の第三者である監査法人が行う監査。特に上場企業では金融商品取引法で会計監査が義務付けられており、監査を通して株主や債権者、投資家に対して財務諸表の健全性を証明する意味を有しています。
内部監査
:事業会社の中にある部門。自社(グループ)に対して、企業が成長する上でリスクや問題点等がないか分析・調査し、見つかった場合は速やかな解決に導くべく、改善案の提示等のアドバイザリー業務を行うことを指します。

このように、「誰」に対して「何のため」に行うのか、という視点で考えると違いは明らかですね。

「企業が健全であるために――」縁の下の力持ち“内部監査”の仕事

では次に内部監査の具体的な業務内容をご紹介しましょう。内部監査は企業内にある内部監査室が主導になり、業務を推進していくわけですが、具体的には下記のプロセスに分けることができます。

準備
:会社を診断する医師として、検査項目とスケジュールを決めます。

■監査計画策定→経営層・取締役の承認

内部監査を行う際は、自社(国内外グループ会社を含む)の全ての部署を網羅できるようしっかりと計画を立てる必要があります。

全ての部署を1年で巡回する必要はありませんが、定期的に監査をすることが求められます。

会社に悪いところがないかを調べるという意味では、健康診断に近いかもしれません。

この計画段階で5W1Hをしっかり定めて、いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように監査するのか固めておくことが大切です。

■予備調査

監査計画立案と前後する場合もありますが、会社の経営状況や現在抱える問題点を洗い出し、そちらに注視した監査計画を立てたり、本調査に備えて対象部門の組織図や業務フローを取り寄せ、把握に努めます。

必要に応じて対象部門の責任者に事前のインタビューを行い、職場の現在の状況を把握した上で、(数ある監査項目の中でも)何に注目すべきなのか、着眼点を明確にするためのフェーズです。

実施
:検査項目に基づき、検査を開始します。

■本調査

事前に立案した監査計画に基づき、対象部門に対して監査を行います。監査を実施する際は、内部監査人が担当部門に赴き、(どこか一室を借りることが多いです)現場責任者や担当者にインタビューをしながら事実を確認していきます。

担当者は必要に応じて、内部監査人の求める資料等を提示しながら対応します。

監査の際は監査項目に沿ってチェックを行うわけですが、その項目設定は実施企業によって異なります。

一般的な内容として「現金・資産関係の管理が適切にされているか」「経理処理に伴う会計帳票が管理・保管されているか」と言った「現金」に関わることは、しっかりと監査を行います。

また加えて、その時に企業が抱えているリスクがある場合は、そこに注視してチェックも行います。

例えば、海外企業と取引をする中で、先方の支払い方法・必要書類・対応フロー等が曖昧である場合は、その部分を重点的に監査する必要性がありますよね。監査項目が膨大であるからこそ、企業が抱えるリスクを鑑みて重要度が高いものに濃淡をつけながら監査を行うのです。

フォロー
:診断で見つかった病気の改善・治療方針を定め、経過観察を行います。

■監査報告書作成→経営層・取締役への報告

監査が終了すると、今度はその結果を報告するレポートの作成が待っています。

全体的な監査結果と、見つかった改善点について詳細を報告する「監査報告書」を作成します。

この報告書は経営陣が内容を確認するために使用しますが、広範な監査内容を要約して端的に状況が把握できるようにしたり、発見された改善点が会社にどのような影響を与えるのか、規模感はどれくらいなのか事実を的確に示したりと、論理的な思考力とテクニックが要求される業務です。

■是正・改善指示

改善点が発見された場合に、その問題を野放しにすることは出来ません。

そのため内部監査人は「改善指示書」という書類を作成し、対象部門がいつまでに、どのような手法で改善を行うべきか具体的に示すことが必要になります。

ただ改善指示書においても、あくまでも理想と現実の世界で、つらつらとあるべき理想を押し付けるのではなく、現場の環境を踏まえた上で、実現可能且つ具体的な方法を示し、少しでも改善しやすいようにアドバイスすることが求められます。

■改善状況の検証→経営層・取締役への報告

改善指示書の内容に基づいて、改善活動が行われたのか確認します。対象部門は定められた期日までに、改善が完了したのか、また改善途中である場合はその進捗具合、今後再発しないためにどうすべきか等をまとめて、内部監査人に報告します。

またその結果を受けて、内部監査人は再度対象部門の監査を行い、問題が改善されているのか最終チェックを行います。

内部監査人になるために、押さえておくべき3要素

内部監査人として求められる人材像を語る上で、ポイントとなるのは「年齢」「人柄」「経験/知識」です。ここでは一つずつ説明してまいりましょう。

求められる要件
年齢
:管理部門の中では採用年齢幅が広いのが特徴。若手育成ポジションも狙い目!

内部監査の業務の特性として、様々な部門に訪問し部門責任者や現場担当者に対してインタビューを行わなければいけません。

その際に相手に舐められることなく、あくまでも対等な目線で監査を行うためには、若年層では肩の荷が重いかもしれません。

年齢的な制限があるわけではないのですが、最近は30~50代位の方が内部監査室の構成員として多いように感じます。

これまで40~50代のメンバーで構成されていた企業も多く、内部監査室の高齢化が進んだため、ノウハウの伝授を目的として20~30代の方を積極採用し、内部監査人としての育成を目的としたポジションが増えてきたことも若返りの一つの背景でしょう。

人柄
:知識経験だけではない。「人たらし」であれ!

上記で軽く触れましたが、内部監査業務のメインである本調査では、様々な部門を訪問し、色んな方から話を聞く必要があります。インタビューされる側としてみれば「いったい何を聞かれるのだろう?」「自分の答え方によっては改善指導が出されて、現場に迷惑をかけてしまうのでは…」と緊張したり、極端に構えてしまう方もいます。

(ちなみにゆーままも前職で内部監査を受ける際には、身構えていた人間の一人です。)しかしながら、そういった状況下では正しく現場の状況をヒアリングし、把握することは困難でしょう。そのため、内部監査人に求められる素養の一つとして、相手が落ち着いてインタビューに応じてくれる雰囲気を作り出せるかも問われており、高いコミュニケーションスキルが必要なのです。

前提条件として、内部監査人は経営陣と現場の間に入って監査を行いますが、どちらかに癒着することはなく、あくまでも第三者的・客観的な立場をとります。

そのため「公平性・中立性」と言った立ち振る舞い、相手を責めない「広い心・寛大さ」、先方が安心して話すことができる「誠実性」、改善指導を考え、先方に伝えていく「論理的思考力」等が求められるのです。

これまで多くの内部監査室の方と話してきましたが、事実、皆さんの特徴として笑顔が穏やかで、論理的なコミュニケーションを得意とする、前向きな方が多かったように感じます。

経験/知識
:事業会社経理、監査法人勤務、資格取得者…実は切り口は様々!

なかなか内部監査の実務経験を持っている方は多くありません。内部監査実務経験に特化してしまうと母数が少なくなってしまうため、先方も応募要件に関しては少し幅を広げていることが多いでしょう。では、どういった経験が認められるのでしょうか。

ここでは大きく分けて三種類ご紹介いたします。

一つ目は「会計領域の経験」です。前述のように、監査項目の中には「現金」に関するものが非常に多くなります。そのため担当部門と目線を合わせて話ができるだけの知識を有しているという視点で、決算・開示等の財務会計、予算管理等の管理会計の経験を持っている方は評価の対象となります。

二つ目は「監査法人での会計監査&内部統制監査」の経験です。会計監査が事業会社経理と同等の知見を兼ね備えているという話は前回触れておりますが(参照:Vol.8 USCPAの転職先④-1「事業会社で長期キャリアを構築!」)、加えて内部統制監査の役割も評価される傾向にあります。

監査法人における内部統制監査は、そもそも会計監査を行う上で「この企業の業務ルール、仕組み、システムが正しく構築・運用されている」ことを保証する監査です。(会計監査で提出される書類が、リスクが低く適切なフローを経て作成されていることを証明する意味も持っています。)

内部統制監査を行う際に、監査法人がチェックするのは企業が作成した「内部統制報告書」です。この書類作成は事業会社の内部監査室の業務に含まれることもあるのです。

そもそも企業の内部統制がきちんと機能するための一つの重要なチェック要素に「モニタリング」があります。モニタリングの一つの手法が「内部監査」のことであり、企業は内部監査を通して、定期的に「内部統制」が整っていることを確認するのです。

そして最後の三つ目は資格です。内部監査業務と関連性の高い、CIA(公認内部監査人)やCISA(公認情報システム監査人)の資格を有している方を積極採用している法人も少なくありません。

内部監査室配属後に取得を推奨されるケースも多いので、事前に資格を持つことで有利に転職活動を進めていくことも可能でしょう。

さて、皆さ…

皆さん、どうでしたか?2回に渡って事業会社の管理部門について説明してきました。全体的な傾向として事業会社は「即戦力」を重んじることは、皆さんにも理解していただけたかと思います。現時点で「即戦力」性がなかった時に、どうやってその経験を補うのか…。

現状、闇雲に転職活動を進めて「やっぱり経験がないから駄目だった」と諦めてしまうのではなく、自分の持っている武器を組み合わせて、階段を登るようにキャリアアップを図ることも時には有効な手段となります。

皆さんの思い描くゴールと、現実を繋ぎ合わせるためのお手伝いを私達エージェントは得意としています!

(ankoさん、話したかったんだな…)

さて皆さんに重ねてお詫したいことが…。この後書きを読んでいらっしゃる方の中には、「あれ、経営企画を説明してないよね。」とお気づきになられた方も多いかと思います。

今回も熱く内部監査部門について語っていたら、気が付いたらかなり予定の文字数を超過しておりました。

そのため、皆さんにとってお腹いっぱいかもしれませんが、「経営企画」に関する詳細は次回お届けいたします!次回で今度こそ「事業会社編」は完結です!